言語聴覚士になるには?キャリアアップや資格について解説!

現在、高齢化社会が進んでいる中で、食物などが気管に入ってしまうことなどの防止目的や、認知症のリハビリについて業務を行う言語聴覚士という仕事は、非常に注目を集めているリハビリテーションを目的とした専門職です。

言語聴覚士は、国家資格となってまもなく、同じリハビリ職である理学療法士や作業療法士と比べても取得者が少ない状況である為、目指していく上で将来性について現役言語聴覚士が徹底解説します。

言語聴覚士とは?

高齢者が増えている状況の為、言語聴覚士は益々需要が増えており、病院において「食べる」「話す」「聞く」の評価・訓練を行い、機能回復や機能維持を目的としたリハビリテーションを行うのが言語聴覚士の主な業務です。

また「呼吸器」「認知機能」についてもアプローチし、業務は幅広く、聴覚に関する業務も有資格者が行う病院もあります。

病院以外でも、施設や企業で活躍している言語聴覚士がおり、施設では、主な業務として、利用者様の食べ物を上手に飲み込めない状態を確認し、舌や口のトレーニングを実施しています。

病院が主に機能回復訓練に対して、施設では機能維持訓練を目的としていますが、病院勤務は施設勤務に比べ少ない為、幅広い知識を活かし、医療機器系の企業、食べ物を上手に飲み込めない状態の高齢者向けの食事(嚥下食)を扱う企業に就職する方法もあります。

言語聴覚士は、リハビリテーションが主な業務の為、患者様・利用者様の生活の質の向上を一番に考え、仕事に従事することが大事です。

言語聴覚士になるには?

 そんな言語聴覚士ですが、厚生労働省が実施している国家資格です。

医療専門学校に数年通い、国家試験に合格することで取得することができますが、難関国家資格の一つで、言語聴覚士になるには、時間、費用、そして勉強を続けるという努力が必要になります。

国家試験を受験するためには、専門学校が実施する科目数の取得や試験で一定水準以上の点数をとるなど、学校側から卒業できる人材かどうかを評価され認められたものだけが卒業証明書を受け取ることができますが、医療専門学校には2年制・3年制があり、それぞれの特徴について、確認しておくことが大切です。

2年制と3年制のそれぞれのポイントについて箇条書きにして紹介します。

2年制
  • 4年制大学を卒業者のみ対象
  • 学費も安く抑えることが可能
  • カリキュラムが多く感じる
  • 土日登校の可能性
  • 実習と併せて就職活動を行う必要性
  • 言語聴覚士試験において一般教養科目免除
3年制
  • 高等学校卒業以上で入学可能
  • 学費3年分の為、経済的負担
  • 勉強時間やセミナー参加可能
  • 就職活動がしやすい
  • 勉強期間が長く、中だるみを起こしやすい

専門学校によって、何年制なのかが違い、目的の年数で卒業する為県外に出て学校に入学する方もいます。時間の確保や就職に関するセミナー参加など、比較的に余裕を持って活動できる3年生がおすすめします

また、専門学校だけでなく、言語聴覚士学科のある4年制大学などもあるので、個々に合わせた人生設計を、家族と相談して作ることが大切です。

言語聴覚士の実態

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」では、平均労働時間は月間163時間、平均年収は418万円、業務の平均年齢は33歳です。収入面や求人状況について紹介します。

収入について

地域によって差はありますが、キャリアを重ねていく人が増えることで高くなり、県立病院や市立病院でも多くの求人が出ていることや公務員として安定した収入を得ることもできます。

また、基本給とは別に資格手当があるので、経験年数とともに、収入が増えていく仕組みを取り入れている場所が多く、キャリアがあれば、年数によって資格手当が高い病院・企業があります。

賞与に関しては、一般的な企業や病院、高齢者向け施設とほぼ同じ支給基準と考えて良いでしょう。大学付属病院やクリニックでは、勤続年数・役職によって金額は増減されますが、医療分野という特殊な業界で仕事ができるので、収入・賞与は安定する為、おすすめの職業です。

求人について

言語聴覚士の仕事のできる場所は、総合病院、大学病院の口腔外科、耳鼻科、リハビリテーション科、リハビリテーション専門病院、リハビリテーションセンターなどの病院だけでなく、福祉・教育現場まで増えています。

行政機関の保健所・保健センター業務を行う場合や教員免許など他の資格も必要になりますが、養護学校や聾(ろう)学校教員は公務員として働くことができ安定した職場環境が手に入ります。

その他にも、特別養護老人ホーム・介護福祉施設、リハビリを目的とした訪問サービスがあり、まだまだ人材が必要。

しかし、選択肢が多いことから言語聴覚士取得後どの分野に行くか迷っている方もおられます。そこで、総合病院で様々な症例の患者様へリハビリを行い、自身がより極めたい分野を見つけたら精通した病院や科に移動を考えるなど、転社、転職をする方は多いです。

地域の言語聴覚士学会や、卒業した学校のキャリア支援課など、その他ネットの求人サイトでも紹介され、論文発表、臨床での業績や学会での活動などで功績をあげ、スカウトされる人もいます。

厚生労働省の「令和2年人口動態統計月報年計」では、死因別にみた死亡率は肺炎が5位で、30年以上前から5位以上の順位になっており高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)との発表されていることや、2025年にはベビーブーム世代(1947~1949出生)が75歳に達し高齢者率が急加速する超高齢化社会問題など、日本には重大な問題多いです。

言幅広い分野で活躍できることやこういった問題が残っている現状なので、多くの職場が言語聴覚士を必要としています。 

言語聴覚士のキャリアアッププランを紹介

言語聴覚士の仕事は幅広く、日々業務をこなしていく中で、言語聴覚士の知識だけでは不十分と感じる部分がある為、キャリアアップになる関連資格を紹介します。

呼吸ケア指導士

呼吸ケア指導士は呼吸障害をもつ方の継続的なケアを目的とした認定資格で、医師、看護師、言語聴覚士など、呼吸ケアに関係のある専門職が対象です。

言語聴覚士の仕事は「話す」と密接に関わり、発声発語障害が原因として呼吸が関係するものがある為、呼吸の訓練・評価を行う上で、呼吸ケア指導士の資格取得をおすすめします。

手話通訳士

「聞く」の中には、難聴の方の評価・訓練があり、聴覚レベルについて、補聴器を付けて聞こえが良くなる患者様もいれば、聾(ろう)と呼ばれるまったく聞こえない方もおられます。手話通訳士を取得することで、手話が必要な方と健聴者の方をスムーズなコミュニケーションが取れるように繋ぐことがです。

プロフェッショナル心理カウンセラー

患者様にとって訓練はつらいものですが、行う上で心のケアは必須になります。プロフェッショナル心理カウンセラーは言語聴覚士に限ったことではありませんが、患者様の心のケアに役立てることができます。

栄養サポートチーム専門療法士

言語聴覚士の業務の中で摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)は非常に多い為、栄養サポートチーム専門療法士を取得することで、栄養の面からサポート。

認定言語聴覚士

認定言語聴覚士は6年以上の臨床経験と必要なプログラムを終了し、筆記試験に合格することで取得することができますが、プログラムの難易度は非常に高く、条件を満たすと、認定言語聴覚士とになります。 

まとめ

様々な領域で活躍している言語聴覚士ですが、幅広い知識が必要です。学校だけでなく、職場環境において、必要な専門分野の知識を高めていくために、セミナーの参加や新しい資格の取得が求められます。

病院では専門性の高さからスタッフや患者様から信頼され頼られる存在、命に関わる重要なリハビリも多く、必要とする人が増える社会が到来する為、言語聴覚士の活躍は今後ますます期待され、需要が伸びる職業となりますので、挑戦してみてはいかがでしょうか。

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黒滝 春(くろたきしゅん)

2017年に言語聴覚士を取得。医療系に関する記事作成や融商品に関する記事作成(保険・投資)を得意なジャンルとしてwebライターの活動をしております。また、医療機器販売を4年間勤務しており、医療系は多角的視点から対応可能です。

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黒滝 春(くろたきしゅん)
2017年に言語聴覚士を取得。医療系に関する記事作成や融商品に関する記事作成(保険・投資)を得意なジャンルとしてwebライターの活動をしております。また、医療機器販売を4年間勤務しており、医療系は多角的視点から対応可能です。