ご家族や自分自身が入居する施設を選ぶ際は、不安な点が多いですよね。
施設といってもたくさん種類があり、その方の身体の状態や暮らし方によって異なってきます。
闇雲に探すのではなく、その方に見合った施設を選択していく必要があります。
そこで今回は、老人ホーム・介護施設の種類、概要、選び方などをご紹介していきます。
この記事を読むことで、老人ホーム・介護施設の基本情報を把握することができ、その方に見合った施設を選択できます。
老人ホーム・介護施設とは?
https://www.photo-ac.com/main/detail/24079335
老人ホーム・介護施設は、たくさんの種類がありますが、大きく「公的施設」と「民間施設」の2種類に分けられます。
公的施設
公的施設とは、地方自治体や社会福祉法人、医療法人が運営する施設です。
国が補助金を出して設立しているため、民間施設よりも入居費用が安く、とても人気で施設によっては入居待ちも起きています。
民間施設
民間施設とは、民間企業が運営している施設です。
民間企業が運営することから自己負担額が多く、公的施設よりも入居費が高いです。
しかし、訪問介護事業や通所介護事業が運営していることが多く、公的施設よりもサービスが充実しています。
入居待ちのケースも少なく、比較的スムーズに入居できます。
出典;SBIエステートファイナンス「老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説」
https://www.sbi-efinance.co.jp/contents/care_facilities_and_elderly_housing/
介護施設一覧とその特徴
https://www.photo-ac.com/main/detail/22673372
公的施設、民間施設、それぞれにどういった施設があるのか、どんな特徴があるのかを紹介していきます。
公的施設と民間施設の代表的な施設をそれぞれ表に示しました。
公的施設は4種、民間施設は6種紹介していきます。
公的施設
地方自治体や社会福祉法人、医療法人が運営する公的施設。
その代表的な施設の特徴を紹介していきます。
介護老人保健施設
介護老人保健施設、通称「老健」。
主に病院から退院した後すぐに自宅で生活することが難しい方が、在宅復帰を目指すために入居する施設です。
身体機能の維持・改善の役割を担うため、施設では理学療法士や作業療法士が在籍しリハビリテーションを受けることができます。
入居期間が3〜6ヵ月と限定されています。
対象者:介護保険要介護1以上取得者(要支援1、2の方は利用できない)
出典;厚生労働省「介護老人保健施設」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174012.pdf
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム、通称「特養」。
常に介護を必要とし、自宅では介護を受けることが難しい方に対し、入浴や食事などの生活動作のサポートを提供する施設です。
月額が安価なことから、とても人気で入居待ちの場合が多いです。
対象者:介護保険要介護3以上取得している高齢者(65歳以上)
出典;厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000663498.pdf
介護療養型医療施設
医療の必要な要介護高齢者に対して、医療処置やリハビリを提供する施設です。
看護師が他の施設よりも多く在籍しており、経管栄養や痰の吸引、インスリン注射などの医療処置を行っています。
医療処置を目的としているため、イベントやレクリエーションなどは行われないことが多いです。
対象者:介護保険要介護1以上取得している高齢者(65歳以上)
※介護療養型医療施設は、2024年3月末に完全廃止されることが決まっています。
出典;厚生労働省「介護療養型医療施設」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000663474.pdf
軽費老人ホーム
家庭環境や住宅事情などの理由で、生活に課題を抱える高齢者に食事の提供などの生活動作をサポートする施設です。
A型、B型、ケアハウスといくつかの種類が存在します。
費用は無料または低額料金となっています。
身体疾患の方だけでなく、精神疾患の方も増えてきています。
対象者:60歳以上の高齢者または夫婦のどちらか一方が60歳以上
自分の身の回りの動作が自立している。
共同生活に適応できる
など施設によって多少異なります。
出典;厚生労働省「養護ホーム・軽費についてホーム」
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000656699.pdf
民間施設
民間企業が運営する民間施設。
その代表的な施設の特徴を紹介していきます。
サービス付き高齢者向け住宅
比較的介護度が軽い・自立している高齢者向けの賃貸住宅です。バリアフリー構造になっており、ケアの専門家による安否確認や生活相談サービスを受けることができます。
対象者:60歳以上の高齢者、あるいは介護保険要介護を取得した60歳未満の方
出典;厚生労働省「高齢者向けの住まいについて」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000048000.pdf
介護付き有料老人ホーム
軽症から重症の方まで入居可能で、生活動作のサポートを受けることができる施設です。
また、生活動作だけでなく、リハビリテーションやレクリエーションなどサポートが手厚く、イベント事も多いです。
身の回りのことが自立できている方のみ入居可能な「自立型」、要介護取得者のみが入居可能な「介護専用型」、どちらも入居可能な「混在型」の3つの種類があります。
施設によっては看取りまで対応することもあります。
対象者:60歳以上もしくは65歳以上の高齢者、あるいは介護保険要介護を取得した60歳未満の方(施設によって異なります)
出典;厚生労働省「有料老人ホームの概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038009_1.pdf
住宅型有料老人ホーム
比較的軽症な方が、家事など必要な分だけサービスを受け、自立した生活をしていく施設です。
必要なサービスは、入居者個人で契約することで受けることができます。
他にもレクリエーションやイベントが多いです。
対象者:60歳以上もしくは65歳以上の高齢者、あるいは介護保険要支援・要介護取得者(施設によって異なります)
出典;厚生労働省「有料老人ホームの概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038009_1.pdf
グループホーム(認知症型)
認知症高齢者が専門スタッフのサポートを受けながら集団で暮らす民家です。
5〜9人で共同生活を行い、認知症の症状の進行を緩和するようサポートしていきます。
対象者:65歳以上の介護保険要支援2または要介護1以上取得しており、医師から認知症の診断を受けている者
出典;厚生労働省「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000647295.pdf
健康型有料老人ホーム
介護が必要なく自立した生活を送ることができる高齢者施設です。
家事のサポートや1人暮らしが不安といった理由で入居される方が多いです。
食事などの家事のサポートは付きますが、それ以上の介護が必要になると退去しなければいけません。
対象者:60歳以上の高齢者で、自立または介護保険要支援取得者
出典;厚生労働省「有料老人ホームの概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038009_1.pdf
シニア向け分譲マンション
民間事業によって販売・運営されているバリアフリーの分譲住宅です。
自立した高齢者が、食事や緊急時の対応などのサービスを受けながら自立した生活を送っていきます。
また、フィットネスやレクリエーションを行える施設が備わっているところもあります。
対象者:年齢制限はなく、自立または介護保険要支援取得者(施設によって異なります)
出典;Lnote「シニア向け分譲マンションとは?入居するメリット、デメリットな費用などを解説!」 https://www.livable.co.jp/l-note/2300/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_content=5034956249_16223559731___&utm_campaign=13AL_PMX_P01%28%E9%A6%96%E9%83%BD%E5%9C%8F%29-low_gl_gdn_001230&utm_term=_&argument=CrscRcp3&dmai=low_gl_gdn_00123
施設選びの7つのポイント
https://www.photo-ac.com/main/detail/23527337
ここまで施設の種類について紹介してきました。
次は実際に施設を探すときに見るべきポイントを押さえていきましょう。
入居条件だけでなく退去条件の確認も忘れずに!
施設を決める際にまず、入居条件・退去条件を確認しておく必要があります。
ある程度は国で定められた条件がありますが、施設によっては独自の条件を提示している場合もあります。
自立しているのか、介護が必要なのか、介護が必要であるならばどういった場面で必要なのか、入居者の身体状況にあった条件を選びましょう。
また、入居時は体調がよくても、その後急変し介助量が変わったことで、退去しなくてはならない場合もありますので、入居前にしっかりと把握しておきましょう。
負担になりすぎない施設費用
入居者やその家族の経済状態で賄える施設を選ぶ必要があります。
基本料金には、初期費用や基本料金がかかってきます。
それに加え、サービスやアメニティ、医療費などの自己負担額が上乗せされますので、かかる費用の最終的な金額を計算して、無理なく支払える施設を選びましょう。
ケア体制は整っている?
医療体制、介護体制、リハビリ体制の確認は必ず行いましょう。
まずは、スタッフの人数を把握しましょう。
居者の人数とスタッフの人数のバランスが整っていないと、サービスもおろそかになってしまいます。
施設の種類によっても多少異なりますが、「入居者3:スタッフ1」が基準になります。
それと同時に専門知識を持った有資格者の数も大切です。
医師や看護師、機能訓練指導員の人数や勤務日数、勤務時間を確認し、どういったケアを受けることができるのか把握しておきましょう。
施設の雰囲気やスタッフの態度・能力の確認!
他の入居者や働いているスタッフによって、施設の雰囲気は大きく左右されます。
入居者の身体機能が同等くらいだと、運動や作業活動を共有することができ、入居者同士で交流することができます。
また、スタッフの態度や能力は、入居者の生活に大きく影響します。
優しく丁寧なスタッフの特徴は、入居者をよく見て笑顔で話しかけてくる、入居者の要望を先回りして対応している、忙しさを態度に出さない、などです。
特にお昼ご飯などの忙しい時間帯のスタッフの対応も見るべきポイントです。
施設の設備状況は?
設備の充実度は、入居者の生活の満足度に直結してきます。
ベッドやトイレ、お風呂など、生活動作に欠かせない設備は必ず確認する必要があります。
また、レクリエーションや運動ができる設備、家族面会できる部屋など、楽しく過ごせる空間も必要です。
支援者が通いやすい立地条件かどうか?
施設の場所は、入居者のご家族や支援者にとって、非常に重要なポイントです。
入居者本人が住みたいと思える施設が一番ですが、それと同じくらい支援者の負担にならない立地でなければいけません。
まず自宅からの距離、交通の便が良いかを確認しましょう。
支援者が施設に行きやすいことが大切です。
洋服やオムツなどを届ける、面会しに行く、また入居者の体調が急変した、こういった際にすぐに駆け付けられる距離感が望ましいです。
また、最寄駅からの距離、バスは通っているか、施設周辺の道路状況など、通うのが苦にならない交通の便の確認も重要です。
次に近隣施設に恵まれた土地かを確認しましょう。
体調を崩した際すぐに行ける医療機関はあるのか、散歩ができるような公園があるのか、買い物ができるような商業施設があるのかなど、周辺の施設に恵まれていると、入居者が住みやすく安心して生活することができます。
食事は美味しいか?
日々の食事の質は、入居者の健康や精神面を維持するうえでとても大切です。
軟食、きざみ食、ペースト食のように、嚥下機能に見合った食事内容を提供できるのか、栄養は整っているか、入居者の安全面を考える必要があります。
また、食事は入居者の生活の質を高めるうえで欠かせません。
献立や味の具合は、食事を楽しむという精神状況に大きく影響するので確認しておきましょう。
まとめ
老人ホーム・介護施設の種類とその選び方について紹介してきましたが、施設には多くの種類があり、それぞれ違った特徴を持っています。
事前に施設情報を調べ、基礎的な知識を身につけておきましょう。
それから施設を見学しに行き、気になる点や不安な点を質問してみてください。
入居者に見合った施設を選択し、安心してよりよい生活を送ることができるよう慎重に探していきましょう。
鈴木 史也
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