【急性アルコール中毒の症状と対処法】 友人が痙攣したらどうする?

新人歓迎会や忘年会、アルコールを交えた飲み会は社会人になると誰にでもある経験だと思います。
飲み会で、雰囲気を盛り上げるために一気飲みをしてしまう様子もよく見かける光景です。
急性アルコール中毒は、当日の体調や体質によって誰にでも起こりえる危険な中毒症状です。
最悪の場合、死に至るケースも少なくありません。
今回は、急性アルコール中毒の症状や対処法を誰にでも理解できるよう詳しくお伝えしていきます。

急性アルコール中毒はなぜ起こるのか?

引用:https://toshiblo.hatenablog.com/entry/2019/12/05/060000

急性アルコール中毒は簡単に説明すると脳が麻痺した状態です。
脳は大きく分けて3つの働きがあります。ひとつずつ簡単に説明します。

 

脳の働き

①大脳
喜怒哀楽など感情を司り、ものを考える働き

②小脳
走ったり歩いたり、姿勢を保つ働き

③脳幹
呼吸をする、心臓を動かす働き

アルコールは、これらの脳の役割を抑制してしまう働きを持っています。
飲酒すると開放感に溢れ陽気になったり、ふらついたりします。
これは、大脳や小脳の働きを抑えるために起こる症状です。

また、アルコールの分解は、胃や小腸を経て肝臓で行われています。
しかし、一気飲みや度数の高いお酒を短時間で飲酒してしまうと、肝臓での分解が間に合わなくなってしまいます。

その結果、血中のアルコール濃度が高くなってしまい、更に脳の麻痺が進行します。
大脳や小脳を麻痺させたあと、さらに生命維持に必要な脳幹の働きを抑えてしまいます。
脳幹は、呼吸したりや心臓を動かす働きをもっているとお伝えしました。
アルコール中毒が重症化すると呼吸停止、血圧低下などの症状を起こし、最悪の場合死に至ります。

急性アルコール中毒の症状と対処法

引用:https://publicdomainq.net/beer-cheer-0054283/

飲酒すると大体30分~2時間ほどでアルコールが体内に吸収されます。
吸収されるに従い、脳の抑制が始まり酔いも進んでいきます。

お酒が回るとどのように酔いが進んでいくのか?

「酔い」の分類は大きく分けて4種類に分類されており、段階によって症状が大きく変わります。

酔いの分類

①ほろよい期(明るく楽しく飲めている段階)

  • 陽気になる
  • 皮膚が赤くなる
  • 判断力の低下
  • 脈が速くなる

②酩酊期(周りが「もうやめた方が・・・」となり始める段階)

  • 声が大きくなる
  • 喜怒哀楽が激しくなる
  • ふらつく(千鳥足になる)
  • 吐き気・嘔吐
  • 呼吸が早くなる

③泥酔い期(脳にアルコールがかなり回っている状態)

  • 記憶・意識がはっきりしない
  • 会話が成り立たない
  • 場所に関わらず寝てしまう

④昏睡期(呼吸や循環を支配している脳幹まで麻痺させている状態)

  • 意識がなくなる
  • 尿失禁、便失禁
  • 呼吸停止
  • 血圧低下

急性アルコール中毒は、どの段階から中毒症と呼ばれるのかは明確な基準はありません。
さらに人によってお酒が回るスピードも異なります。

一気飲みなどをしてアルコールを大量に摂取すると、段階を飛ばして昏睡期に陥る場合があります。
昏睡期まで到達すると最悪の場合、呼吸が止まってしまいます。
また、嘔吐と意識消失が同時に起こり、吐物が気道に詰まってしまうこともあります。
このように、急性アルコール中毒によって死亡してしまう事故が起こってしまいます。

急性アルコール中毒を疑う時の対処法

引用:https://gucchi23.net/blog/archives/8015

もし一緒に飲んでいる人にこのような症状がでたら適切に対処しましょう。

  • 呼びかけや身体をゆすっても眠ったまま起きない
  • 体が冷たい、明らかに震えている
  • 呼吸回数が明らかに少ない
  • 手足の痙攣や口から泡を吹いている

これは、意識や呼吸の障害が出ている状態です。
命に関わる状態なので、すぐに救急車を手配してください。
また、急性アルコール中毒になると体温低下が生じます。
体温が下がらない様に上着や毛布をかけて保温しましょう。

救急車を呼ぶほどではないが、嘔吐やふらつきがでている場合

万が一に備えて、必ず付き添い、ひとりにならない様にしましょう。
酔いつぶれている場合、吐いた吐物が気道に詰まる、転倒して身体を強打するリスクがあります。
二次的な事故を起こし致命的な事故を起こす方も少なくありません。
必ず側にいてあげてください。

急性アルコール中毒になった時の寝かせ方

引用:https://medley.life/news/56f0f04599c1d91e008b45d5/

急性アルコール中毒になった場合、必ず「回復体位」をとってください。
回復体位とは、腕を枕にして体を横に向け呼吸を妨げられない様にする体位です。
この時、頭を反らせて気道を確保してください。
上側の膝を曲げるとうつ伏せや仰向けにならずに回復体位をとることができます。

酔って意識が無い状態でも嘔吐する場合があり、仰向けのままだと自分の吐物で窒息してしまいます。
窒息予防のために必ず回復体位にして介抱してください。
回復体位をとったら、呼吸をしているか、脈拍はあるかを確認するようにしてください。

少しでも不安があれば、すぐに救急車を呼んでください。
また、長時間回復体位をとると血液循環が偏ってしまいます。
時折体位を反対側に変えてください。

急性アルコール中毒を防ぐために気をつけるべきこと

引用:https://hb-web.jp/article/13466

急性アルコール中毒を予防するには、飲む前からの対策が必要になります。
ここでは、楽しく飲める様に中毒症を防ぐための方法をお伝えします。

自分が飲める量を知っておく

楽しく飲みたいと思っている人ほど自分の適量を超えて一気飲みをしてしまうことが多いです。
一気飲みは急激にアルコール濃度を上昇させ、とても危険な行為です。
普段の飲み会から、自分が飲める量を把握しておきましょう。

体調の悪い日はアルコールを控える

寝不足や体調不良の時はアルコールが回るスピードが早く、一気に酩酊期に進行してしまうことがあります。
その時は事前に周りの人に自分の体調を伝え、飲みすぎない様に工夫しましょう。

空腹では飲まない、食べながら飲む

空腹時にアルコールを摂取すると、胃の吸収が早まり急激に血中アルコール濃度が高くなります。
必ず食事をしながらお酒を飲むようにしましょう。

アルコール度数の高いお酒は他のもので割って飲みましょう

度数の高いお酒は胃への負担も強く、アルコール濃度が高くなるスピードも速いです。
水や炭酸水で割るなどの工夫をして負担の掛からない飲み方にしましょう。

体質的に飲めない方は事前に知らせておきましょう

事前に周囲に知らせておくことで、無理強いされることも少なくなります。
無理をせず楽しめるように「体質的に飲めない」と自己申告しておきましょう。

友人が急性アルコール中毒で痙攣発作!その時あなたが取るべき行動は?

異変には早く気づきたいものですが、お互い適度に酔っている状況であると、すでに相手が中毒症になっていた、ということも少なくありません。一緒に飲んでいる相手の様子がおかしいと感じた時に、あなたが取るべき行動をここで知っておきましょう。

引用:https://medley.life/news/559364a0e7880cc802efc51a/

反応がない場合はすぐに救急車を手配して

手足が痙攣しており呼びかけに対しても反応がない場合はすぐに救急車を呼んでください。

また、このような場合、痙攣発作だけでなく呼吸や循環、体温の異常も併発していることが多いです。

必ず脈拍や呼吸が異常でないか確認して救急隊員に伝えて、指示をもらってください。
救急車が来るまで窒息しない様に回復体位をとりましょう。
家にいる場合は毛布を掛けて保温、外にいる場合は地面にも上着を敷いて体温が低下しないようにしてください。

反応がある場合

意識がある場合、救急車を呼ぶかとても迷う状況であることが想像できます。
判断に迷ったときは「♯7119」(又は、地域で定められた番号)に電話すると、医療知識を持った相談員に繋がります。
相談内容から緊急性がある場合はすぐに救急出勤に繋いでくれます。
また、緊急性が無いと判断された場合は症状に対しての助言を仰ぐことができます。
ぜひ不安な時は活用してください。

医療機関に受診しない判断をした場合は必ず一人にさせないようにしましょう。
意識障害や、嘔吐、転倒など二次的な事故を引き起こす可能性が高く危険です。
水が飲める場合であれば水分補給を行いアルコールの代謝を早めましょう。

急性アルコール中毒で死に至るケースも!

引用:https://publicdomainq.net/man-sad-cry-0052877/

アルコールは適度な量であれば、肝臓の代謝によって正常に排泄され、楽しく飲むことができます。
しかし、過剰な飲酒をしてしまうと脳の抑制が強まり、生命に関わる機能さえも抑え込んでしまいます。

最悪の場合、呼吸や心臓の動きをコントロールする機能を低下させ、死に至ります。

とくに若い世代の方は、慣れない飲み方をして、急性アルコール中毒によって死亡する事故が年々増加しています。
急性アルコール中毒は、飲み方を間違えると簡単に死に至る怖い病気なのです。

まとめ

急性アルコール中毒は誰にでも起こりえる怖い病気です。
「記憶が無くて翌日周囲に謝る」ということがよくあることかもしれませんが、それ以上に脳の麻痺が進行していれば死んでいたかもしれないということを忘れないでください。

また、アルコールを交えた食事会は社会人にとってよくある行事です。今もなお一気飲みを無理強いするなどのアルハラは行われています。お互い楽しく飲むためにも断る勇気を持ちましょう。

もしかしたら、あなたが参加している飲み会で予期せぬ事態が起きるかもしれません。適切な対応ができるようぜひお伝えした対処法を活用してみてください。

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aiko

整形外科病棟で働く現役看護師ライターです。専門的な知識や経験を活かせるため、医療に関する記事執筆を得意としています。他に、自動普通二輪免許所有しておりバイク記事や恋愛系の記事執筆など幅広いジャンルをテーマにしてWEBライターとして活動しています。

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