法人向け生命保険とは?個人向けとの違いやメリットや注意点を解説

法人向生命保険と、個人向け生命保険の違いを知らないという経営者も多くいます。
まだ加入していない経営者にとっては、法人向け生命保険に加入するメリットや、注意点も気になるところではないでしょうか?

企業によって保険に求めるニーズはさまざまです。
法人保険営業経験者の筆者が、法人向け生命保険と個人向け商品との違いと、メリットについて解説します。

法人向け生命保険とは?個人向けとの違い

法人向け生命保険とは、契約者を社長や役員にして加入する保険のことをいいます。

被保険者は、社長・役員・従業員です。
つまり、法人向けに開発された保険商品だけでなく、個人向けの保険商品でも契約者が社長・役員であれば、法人保険ということになります。

法人向けの場合、保険金の受け取りは法人になりますので、経営リスクに備える保険です。
一方、社長個人が生命保険に加入する場合は、契約者・被保険者ともに社長個人です。
社長個人のリスクに備える保険だといえます。

法人向け生命保険の多くは、個人向け生命保険と比べて保障額は大きく、保険料も割高となっています。

法人向け生命保険の種類

法人向け生命保険にはさまざまな種類があり、保障内容が異なります。
加入目的を明確にし、目的に合った保険を選ぶことが大切です。
次は、7つの法人向け生命保険について、詳しく解説していきます。

逓増(ていぞう)定期保険

契約から一定期間終了後に、死亡保障額が段階的に増加していく保険です。
事業の発展と共に重くなる、経営者の責任に応じた保障を確保できます。

また、一般的な逓増定期保険では、解約返戻金のピークは加入から5年~10年あたりに設計されています。5年~10年以内の事業承継や、新規投資のための資産形成にも役立つでしょう。

長期平準定期保険

一般的な定期生命保険よりも、長期にわたって一定の保障を確保できる保険です。
更新がなく、資産形成効果も長期間にわたって得られます。企業経営においての事業保障額や、必要コストについて計画が立てやすい保険です。

解約返戻率は最高値(ピーク)に達するまで緩やかに上昇し、そのあとは緩やかに下降していく特徴があります。

養老保険

別名「生死混合保険」とも呼ばれています。
生存したまま保険期間満期を迎えると、満期保険金がもらえます。
また、万が一被保険者が死亡した場合には、死亡保険金が支払われる保険です。

多くの場合、従業員用のための福利厚生の充実や、退職金準備に活用されます。

がん保険

がんに罹患した場合の、保障を備えることができる医療保険です。
個人向けがん保険の多くが掛け捨てなのに対し、法人では事業保障という目的があるため、終身型で解約返戻金のあるものもあります。タイプ別に紹介します。

がん保険の種類
・診断給付金タイプ
・診断給付金+手術費タイプ
・さまざまな保障があるタイプ
・特定の治療保障タイプ

診断給付金タイプは、がんと診断されると一時金が給付され、がんによる手術費がもらえるタイプもあります。

また、入院給付金や死亡保険金、通院費などがセットになっている保険や、特定の治療を受けた場合に、一定の給付金が支払われるものなどがあります。

医療保険

病気やケガなどで入院・手術・通院が必要になった場合に、一定の範囲内で保障する保険です。
基本的には、個人向け医療保険と大きな違いはありません。経営者・役員・従業員を被保険者として、終身タイプのものに加入すれば、在職中は事業保障が得られます。

退職後は名義を個人に変更して、一生涯の医療保障を得ることが可能です。

生活障害保障定期保険

病気やケガなどにより、以下のような就業不能状態になった場合に支払われる保険です。

就業不能状態とは?
・高度障害状態になったとき
・要介護状態になり回復の見込みがないとき
・がん、心筋梗塞、脳卒中などで重篤な状態に陥ったとき

昔と比べると医療技術の進歩は著しく、病気やケガなどで亡くなる割合も低くなってきました。
近年では、入院や障がいなどの長期離脱に備えた、厚い保障のある保険の需要が高くなってきています。

収入保障保険

経営者が亡くなった場合や、高度障害になった場合に受け取ることができ、年金受取方式で保険金が支払われます。

加入当初の保障額が一番大きく、保険期間満了に近づくほど、受け取る保障額が減少していくという特徴です。将来困らないためにも、自社の借入金の返済状況などをしっかりと確認してから加入しましょう。

法人向け生命保険に加入するメリット

法人保険は、万が一のときの保障だけでなく、経営や従業員の福利厚生にも役立ちます。
法人向け生命保険に加入することで得られる、5つのメリットについて紹介します。

資金が少なくてもリスクに備えられる

掛け捨てタイプの保険であれば、低廉な保険料でも大きな保障が得られます。
経営者、役員、従業員が万が一の場合や、また病気やケガなどでやむを得ず長期離脱した場合など、さまざまな経営リスクに備えることが可能です。

売上の減少をカバーしたり、毎月の固定費や借入金の返済、人材育成費などに活用できます。

保険料を経費にできる場合もある

法人税法上では、必要経費にすることができるものを「損金」といい、必要経費として計上することを「損金算入する」といいます。
保険の種類によって、損金算入の割合は異なっています。

掛け捨てタイプの医療保険などの多くは、保険料を全額経費として扱うことが可能です。

それを「全額損金」と呼んでいます。

会社への信頼度が上がる

従業員の福利厚生の充実を図ることが可能です。
法人保険を従業員に適用する場合は、法定外福利厚生になりますが、法定福利厚生の社会保険よりも従業員を手厚く保護できます。

その結果、福利厚生が充実している会社というイメージがつき、採用の際にも非常に有利です。
さらに、従業員が個人で契約するよりも割安の場合が多く、従業員の家族も一緒に加入出来る場合もあります。

事業承継時の負担の軽減

相続税の準備には、死亡保険金を受け取れる生命保険がとても有効です。

経営者に万が一のことがあった場合、後継者は高額な相続税の支払いを迫られます。
その際、納税資金確保のために、自社株・事業資産を売却せざるを得なくなってしまうことが考えられます。

ご勇退を迎えて代替わりする場合も同じです。解約返戻金を元に、勇退退職慰労金を支払います。
退職金を将来相続させることにより、相続税の納税資金に充てることができます。

スムーズな事業承継のためには、後継者の相続税などの負担を減らすなどの対策は、とても重要です。

退職金として活用

役員は従業員に比べ、労災などの公的保障が薄く「保障から取り残された階層」ともいえます。
そのため、会社で保障を準備することが大切です。

役員退職金には2つの種類があります。支払う時期の決まっている「勇退退職金」と、突然の支払いになりがちな「死亡退職金」です。

十分な退職金を支払うためには、計画的な準備が必要です。満期や解約返戻金のピークを、定年退職する年に合わせて契約することで、どちらの場合にも備えられます。

法人向け生命保険に加入するときの注意点

法人向け生命保険に加入する場合は、注意すべきこともあります。
知らないまま加入して、経営が苦しくなったり、メリットを十分に亨受できなかったりするのは避けたいですよね。

保険に加入する際の注意点を知って、経営計画を立てましょう。

資金繰りに配慮する

保険料の負担が大きいとキャッシュフローが悪化し、経営が悪化する恐れがあります。
また、解約返戻金のあるタイプの保険を、返戻金の割合のピークを迎える前に解約した場合、損をする可能性があります。

解約返戻金のあるタイプの保険に加入する際には、いつ解約するのかの出口戦略まで立てておくことが大切です。

保険金の取り扱いに関する規定を定めておく

次のような場合は、保険料が必要経費として認められないことがあります。

必要経費として認められない場合

・退職金規定がない場合

・福利厚生規定がない場合

役員・従業員の福利厚生目的で養老保険などに加入した場合、福利厚生規定がないと、保険料が必要経費と認められないことがあります。

また、解約返戻金を社長・役員・従業員退職金に充てる場合も、注意が必要です。退職金を受領する条件を、満たしているかどうかを判断する退職金規定がない場合、保険料が必要経費として認められない場合があるからです。

保険金や解約返戻金は利益に計上される

支払った保険料を必要経費として処理した場合、戻ってきた解約返戻金や死亡保険金は、会社の利益として計上します。
解約返戻金や死亡保険金にかかる法人税も、支払う必要があります。

保険に加入する際には、税金の負担を少なくするための資金計画を、きちんと練っておきましょう。

まとめ

法人向け生命保険は、社長・役員・従業員の万が一や、病気やケガなどで長期離脱した場合に備えることができます。

また上手く活用すれば、事業承継、福利厚生、退職金対策、事業資金対策など、会社が抱える様々な問題の解決にもつながります。

安定した企業経営を実現させるために、目的や会社の状況に合わせてしっかりと備えていくことが大切です。

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彰月 爽乃

大手保険会社に勤務し、法人向け生命保険の営業経験があります。また、子育ての経験を生かして、様々なジャンルに対応可能です。 ハンドメイドが好きで、ワークショップを開催した経験もあります。 コミュニケーションを大切に、正確・丁寧を心がけております。

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