「ホットフラッシュ」は、のぼせやほてり、発汗などが起こる更年期障害の代表的な症状です。「顔がほてる」「汗がダラダラ出て止まらない」といった症状を感じたら、ホットフラッシュかもしれません。
ホットフラッシュの症状はところかまわず起こるので、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回は、ホットフラッシュの原因や症状、治療法、自宅で出来るセルフケアについてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
Contents
更年期障害とは?
女性は閉経の時期をはさんだ前後5年の期間(約10年間)に、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが急激に減少することで体内のホルモンバランスが乱れます。この時期を「更年期」といいます。
体にさまざまな不調を引き起こす原因は、体温や呼吸などをコントロールしている自律神経の乱れにあります。ホルモン分泌と自律神経を調整する脳の部位が近いため、お互いの機能に影響が生じるのです。
- のぼせやほてり
- 寝汗・発汗
- むくみ
- 頭痛
- めまい
- 動悸・息切れ
- イライラ感
- 不安感
このようなホルモンバランスの乱れによって起こるさまざまな症状を「更年期障害」と呼んでいます。
更年期に多いホットフラッシュとは?
ホットフラッシュは更年期の代表的な症状の一つです。更年期の初期に多くの女性が経験するといわれています。
ただ症状の程度は人それぞれなので、軽い方もいれば日常生活に支障をきたしてしまう方もいるようです。ここでは、ホットフラッシュの原因と症状について解説します。
ホットフラッシュの原因
ホットフラッシュは、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れが原因です。自律神経が乱れると、血管の収縮や拡張のコントロールがうまくいかなくなり、体温の調節ができなくなります。
体温や発汗がうまく調節できず脳が間違った指令を出すため、暑くなくても暑いと脳が勘違いをすることにより、ほてりや発汗といった症状が起こります。
ホットフラッシュの症状
ホットフラッシュの症状は、上半身ののぼせやほてり、発汗などです。突然、体がカーッと熱くなったり、汗が出て止まらなくなったりします。
のぼせやほてりがひどい場合は、頭痛やめまい、吐き気などの症状を伴うこともあるようです。一度起こると2~4分間ほど熱感が続き、汗をかいたり脈拍が増加したりします。
発汗は、顔や体だけでなく頭からも汗をかくことがあるので「通勤時や仕事中に汗が出てきてはずかしい」と多くの女性が悩む症状です。
ホットフラッシュに効果的なセルフケア
ホットフラッシュが起きた時に、対策を知っていれば安心ですよね。つらい症状を和らげることができるセルフケアについてご紹介します。
体を冷やす
ホットフラッシュで顔がほてった時は、首周りを冷やすと良いでしょう。首の太い血管を冷やすことで体温を下げることができるので、ほてりを抑えるのに効果的です。
ウェットティッシュで首を冷やすだけでも症状が楽になります。ウェットティッシュ以外に、持ち運びに便利なクールタオルや保冷剤などをかばんに常備しておくと、いざという時安心です。
ただ顔から汗が吹き出してきた時は、ウェットティッシュなどで拭くとメイク崩れが気になりますよね。そんな時におすすめなのが、携帯扇風機です。
コンパクトな携帯扇風機や首掛けファンで顔に風を当てると、急なほてりや発汗を和らげてくれます。突然起こるホットフラッシュに対処できるアイテムを携帯しておくと良いでしょう。
ゆっくり深呼吸をする
ホットフラッシュが起きたら、ゆっくりと深呼吸をして呼吸を整えましょう。リラックスして気持ちを落ち着かせることが大切です。
正しく深呼吸をすることで、自律神経の乱れを整えリラックスした状態にすることができます。深く腹式呼吸をすることがポイントです。口からゆっくりと息を吐き切ったところで鼻から息を吸い込みましょう。
深呼吸で自律神経が整うとほてりがおさまることがあります。ホットフラッシュが起こったらぜひ試してみてください。
適度な運動を心掛ける
自律神経のバランスを整えるには、適度に運動をすることが大切です。日々の生活の中で、運動を習慣化できている方は少ないのではないでしょうか。
ストレッチやウォーキングなどの有酸素運動は、血行を良くして自律神経のバランスを保つのに効果的です。ウォーキングなどの時間がとれない方は、自宅で簡単にできるストレッチから始めることをおすすめします。
無理な運動はストレスになってしまうことがあるので、自分のできる範囲で体を動かすことを心掛けましょう。
ストレスをためない
ストレスは自律神経に大きな影響を与えます。ストレス状態が続くと血管が収縮して血行不良になり自律神経のバランスが崩れるのです。
更年期を迎える時期は、家族や仕事など周りの環境が大きく変わる頃でもあるため、知らず知らずのうちにストレスがたまってしまいます。できるだけストレスをためないようにすることが大切です。
生活習慣を見直したり、自分の時間を作ったりして心身ともにリラックスできるようにしましょう。
薬や漢方によるによる改善方法
ホットフラッシュを改善する治療法には、ホルモン補充療法と漢方があります。更年期の症状がつらくなったら婦人科で治療することも考えましょう。ここでは、ホルモン補充療法と漢方についてご紹介します。
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法は、減少したエストロゲンを補うことで更年期の症状を改善する療法です。のぼせ、ほてり、発汗などの症状に高い効果が期待できます。ホルモン補充療法には、飲み薬、貼り薬、塗り薬と3種類あるのが特徴です。
特徴 | 投与方法 | |
飲み薬 | 胃腸から吸収されて肝臓を通過した後に効果が得られる。
胃腸や肝臓に負担がかかることがある。 |
連続投与(毎日服用)と休薬期間をもうける方法がある。
※人によって服用方法は変わります。 |
貼り薬 | 皮膚から直接血管に吸収される。
飲み薬に比べて内臓への負担が少ない。 人によっては皮膚の痛みやかぶれが出ることがある。 |
週に2回ほど貼り替える。 |
塗り薬(ジェル剤) | 皮膚から直接血管に吸収される。
飲み薬に比べて内臓への負担が少ない。 |
毎日塗る。 |
ホルモン補充療法はホットフラッシュの症状改善に効果的な治療です。ただし副作用として、子宮からの不正出血、乳房の張りや痛み、胃のむかつき、吐き気などの症状があらわれることがあります。治療を受ける前に医師とよく相談すると良いでしょう。
漢方薬
東洋医学から生まれた漢方は、更年期障害の症状を緩和してくれます。漢方では「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」3つの柱によって、人の体が成り立っているという考え方です。
「気」は自律神経や内分泌系をつかさどる働きをするとされています。のぼせやほてり、動悸といった症状は、気の流れに異常が生じる「気逆(きぎゃく)」と捉え、これらを改善する漢方薬が使われます。
ホットフラッシュの症状改善に使われる代表的な漢方をご紹介します。
- 加味逍遥散(かみしょうようさん) のぼせ、ほてり、不眠症の改善
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 動悸、不眠症の改善
- 加味帰脾湯(かみきひとう) イライラ感、ほてり、不眠症の改善
漢方は薬局でも買うことができますが、症状や体質などにより漢方の種類が変わってきます。高い効果を得るためには、病院で自分の症状に合ったものを処方してもらうのがおすすめです。
まとめ
更年期は誰にでもやってくる体の転換期です。特にホットフラッシュは、多くの女性が経験するといわれています。更年期かなと感じたら、自分でできる対処法を試してみましょう。
また、つらくなったら一人で抱え込まずに誰かに話したり、婦人科で医師に相談したりすることをおすすめします。更年期は必ず終わりがくるので、ストレスをためないように自分にやさしく前向きに過ごしましょう。
弥づき飛ろ
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