日本では代表的な英語資格として圧倒的認知度を誇る英検。最難関である英検1級を大学在学中に取得すべく、友人と共に取り組んでいましたが、私が合格を手にしたのは卒業した5年後でした。
何度も失敗する中、諦めずに挑戦し続け、独学で手にした私だからこそお伝えできる英検1級の攻略法をここで説明します。
資格として強力な武器となる英検1級の勉強を通して、全般的に英語力を強化することができ、ビジネスチャンスの拡大やプライベートの充実も期待できます。人生が変わる、変えることのできる英検1級を目指すにあたって是非参考にしてください。
英検1級の概要について
まずは、英検(正式名称は「実用英語検定試験」)がどんな試験なのか、試験構造と求められるスキルとその水準に関して説明します。
英検1級の試験内容
英検1級の試験は、4技能(一次試験:リーディング、ライティング、リスニング及び二次試験:スピーキング)の各分野で日常からビジネスシーン、時事・政治・社会問題や歴史等のアカデミックな分野、ニュースや新聞の社説やコラムのような記事と幅広い範囲が題材に使われています。
英1級の必要なスキル
たとえば語彙力でいうと、ネイティブでも知的層しか知らないであろう、日常ではほとんど使われない語彙も試験には多く出てきます。
つまり、通常のネイティブ以上の語彙力が求められてくると言っても過言ではないでしょう。
また、読んで分かる(知っている)だけではなく、それらをライティングやスピーキング時に自ら運用できるようになることが求められます。
具体的に言うと、読んで/聞いてわかる単語(アイドリング・ボキャブラリーと言います)を、エッセイを書くときやスピーチに使うことのできる、能動的に使える語彙(ワーキング・ボキャブラリーと言います)の域までアップグレードすることが合格の鍵だと言えます。
英検1級合格のための学習計画の作成法
それでは、英検1級を勝ち得るためにはどういう学習計画が効果的なのか具体的に説明します。
学習スケジュールの設定
英検1級の試験は年に3回実施されます。受験する日程を決めたら、まず強固な学習計画を立てることが必須です。
特に、独学で挑む場合には、着実に毎日実行できる地に足の着いた学習計画を立てることが合格に繋がります。
では、どうすれば自分にあった学習計画を立てられるかというと、「敵を知る」の姿勢でまずは過去問を解いてみるところからです。
自分の合格からの乖離度が分かると同時に苦手分野を発見することができます。
英検1級合格のための勉強法について
英検1級合格のためには、効果的なアプローチで継続的かつ反復して取り組むことが大事です。
ここでは各項目に分けて勉強法を解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
A. 語彙と文法
豊富な語彙力と正しい文法の理解度は、読解力とライティング力の強力な武器ともなります。しっかり基礎固めをしておく必要があります。
高度な語彙リストの使用
語彙力を問う4択式の穴埋め問題はウエイトも大きく、ここがスコア上一番差が付く所だと思います。
ネイティブでも知識層の人々しか知らないような単語も多く出題されます。
単語そのものを覚えることに加えて、周辺の単語(同意語や反意語、一緒によく使われる動詞や形容詞など)も一緒に見ておくといいでしょう。
語彙力に関しては、基本の王道でとにかく覚えること、これしかありません。
英検1級の試験にでる単語集を使うのは必須です。
私の場合、朝夕の通勤時間は必ず単語帳を使った暗記学習の時間でした。単なる暗記といえばそれまでですが、されど暗記、長文などで覚えた単語が出てきて読解力が上がる事にも繋がります。
文法書とオンラインリソースの活用
文法に関しては、英検1級を目指す方は、既に基礎的なことは十分理解できていると思われます。ですので、特に文法書を購入して文法を学ぶという作業は必要ないと思います。
しかし、これってどうだったかしら、と迷いが生じてくることもあるかと思います。
今ではオンラインリソースがとても充実しているので大いに活用すべきです。このようにして文法の理解度を確かなものにしていきましょう。
B. 読解能力
読解力を上げるには、積極的に良質な英文の書籍に多く触れていきましょう。また、読む題材も大事です。具体的におすすめする方法を題材をご紹介します。
英文の書籍を読む
文章全体の構造が理路整然としている論文的アプローチで書かれているものがおすすめです。
言い回しでエッセイに使える表現は、丸で囲んで覚えたり、分からない単語は都度調べるようにしましょう。
ここでは文学的な小説はあまりおすすめしません。というのも、作者独特の描写スタイルがあり、詩的だったり情緒豊かに表現されていたりするため、読解力を深堀するにあたっては理想的な材料とは言えないからです。
私は自己啓発本が好きだったので、自己啓発のコーチングの本を何度も読んでいました。
是非、ご自分の好きな分野の英文書籍を選んで読んでみてください。
英語のニュースや記事を読む
世界情勢が分かる新聞を読むのもおすすめです。英検1級では世界情勢関連の問題が多く出題されます。例えば、米国大統領選、環境問題、貿易摩擦といったグローバルで話題になっていることが好んで取り上げられます。
海外のニュースサイト(CNN, BBC, NBC、CNBC等)や情報提供企業(ロイター、ブルームバーグ等)のサイトをチェックしておくといいでしょう。事実を的確に伝える姿勢で書かれた、文章構造に無駄がないニュース記事はおすすめです。
日々ニュースを英文で読むことは、知識や情報の取得と読解力の向上の一石二鳥の効果があると言えます。
C. リスニング能力
良質な英語(訛りが強い英語ではなく)をたくさん聞くという王道以外にリスニング力をアップさせる方法はありません。その場合、以下のような方法があります。
英語のオーディオブックやポッドキャストの利用
YouToubeやオーディオブック、ポッドキャストを活用するのは一つの効果的な手段です。
私は、自己啓発関連のエッセイ本が好きなので、その内容のオーディオブックや興味のあるプラント・ベース・フード(植物由来の原材料を使用している食品)に特化した情報を発信しているポッドキャストを好んで聞いていました。
現在は、英語の音声を簡単に入手できるので、ぜひご自分の好きなジャンルの音声をたくさん聞いてリスニング力向上に繋げていきましょう。
映画やテレビ番組を英語で視聴
既に知っているニュースをNHK Worldのような英語放送で聞くということも非常に効果的です。
ニュースの概要が頭に入っているため、英語表現が非常に参考になります。
映画にしても同じく、日本語では難なく言葉にできることも、英語ではどう表現するのかを知ることができます。同じ映画を何回も見て、言い回しや表現の仕方を覚えるのも効果的です。
リスニングとスピーキングは要はインプットとアウトプットの関係なので、リスニング能力が向上するとスピーキング能力が追いついてきます。
D. 作文能力
書くことは一番ハードルが高い分野だと言えます。そして英検1級のライティングの問題では社会問題やグローバルで話題になっていることが好んで出題されますので、まずはそうした話題を知っておくこと。そのうえで、それに対する自分の意見・考えを持っていることが前提となります。
たとえ書く能力があっても、中身が浅はかな内容だったら、エッセイとして充分なスコアを得られません。日頃からニュースをチェックし、国内外で何が今起こっていて、グローバルで話題となっていることは何かを知っておくことを強くおすすめします。
英語での日記記入
英文で表現する演習として、英語で日記を書くという事を習慣化することは有効な手段です。何かトピックを選んで自分が感じたこと、自分の考えを英語で表現してみてください。
その際、英語ではどう表現するのだろうという疑問に直面すると思います。そこで、調べてみて、言い回しや単語を覚えましょう。しっかりと例文にも目を通して周辺の単語も覚えるということを積み重ねます。
そうすることで、使える単語を増やしていくことができます。こうしたことの繰り返し、日々の積み重ねがワーキング・ボキャブラリーの拡充に繋がります。
英語のエッセイの練習
英検1級のライティング試験では、自分の考えを論理的にまとめることが求められます。導入で概要を記述し、どうしてそう考えるかの背景解説や理由説明を通して、結論に導いていく流れです。日頃からこうした流れで物事を考える習慣を身に付けておくといいでしょう。
例えば、「日本に原子力発電は必要か」というテーマに関する自分の意見をまずは論理的にまとめてみて、「概要・理由・結論」という形に当てはめてみるといいでしょう。
このように、日常の中でもテーマとなる題材を探して自分の意見を論理的に考えておくことで、英語のエッセイに非常に役立ちます。
E. スピーキング能力
独学で一番難しいのがスピーキング力の向上です。しかしながら、英会話をする相手がいない環境でもスピーキング能力を向上することは可能です。
ここでは私が実践した方法をご紹介します。
英語でのセルフトーク
まず、身近にできるスピーキングの演習として英語でセルフトークすることが有効です。
セルフトークとは、自分自身にかける言葉です。その言葉を英語で声に出してみましょう。
例えば、自分へのアファメーションを英語でつぶやいたり、英文のエッセイを読んでいる時に、いいなと思った表現を声に出して読んでみる、といった場面で使います。
地道な行動の積み重ねですが、このようにセルフトークを行うことで、スピーキング力を日常生活でも磨いていくこができます。
シャドーイングで言い回しと発音の両方を習得
もう一つ、スピーキングの向上に飛躍的に役に立つのはシャドーイングです。
リスニングの章でもオーディオブックやポッドキャストの視聴をおすすめしましたが、PCでこうした題材を視聴し、字幕を英語にして参照しつつ、徹底的にその英語を真似て声に出して読んでいきます。
最初は一時停止の機能を使いつつ字幕を読むことからですが、慣れてきたら一時停止を入れずにすすめるようになります。
同じ場面に関して、この演習方法を何度も繰り返していると、そのうち字幕を読むことなくシャドーイング出来るようになります。
オリジナルと同じスピード、抑揚で、全く同じように真似て声に出すシャドーイングは、通訳の訓練で使われる手法でもあり、アウトプットには大きな効果があります。
英検1級の試験対策
それでは、英検1級の試験対策として実用的な方法を紹介します。
過去問題の利用
定期的に過去の問題を解いてみて、手ごたえを確かめてみることをおすすめします。過去問題は大いに利用するべきベンチマークだと言えます。その場合、設問に特化して解いてみる場合と、100分という実際の筆記試験の時間を図って全問題を解いてみる両方に取り組むといいでしょう。
どこがスムーズに回答でき、どこで苦戦したか、間違えたところはどこかといった点を把握するのはマイルストーンの見直しにもとても役に立ちます。
また、ライティングには充分な時間を取っておいた方がいいので、前半の穴埋めや長文読解をサクサクすすめたほうが有利です。そうした時間配分のコツをつかむことにも過去問題の取り組みは役に立ちます。
モックテストの実施
モックテスト(mock test)とは模擬試験のことです。本番さながらに挑んでみて、自分の立ち位置を確かめるのはとてもいいことです。
モックテストは勉強の半ば半ばで受けてみて、取り組んできたことの成果を確認するのに役立ちます。
まとめ
私自身、単語の暗記、語彙力の拡充、作文能力、英語のインプットとアウトプット(リスニングとスピーキング)とどれをとっても独学で続けている中で、投げ出してしまいたくなる瞬間が何度もありました。
諦めやくじけモードとの闘いが独学にはつきものです。
「英検1級を取りたい」という思いをいかに維持していくかが独学の鍵でした。
何度不合格となっても、再度挑戦できたのは、この「英検1級を取りたい」という思いがあったからです。その思いが前を向く力となりました。
”Act as if I am and I will be.” 「なりたい自分で今を生きる」という意味ですが、最強のメンタルを構築するにはこれが一番、長年私の座右の銘でもあります。
「私もいつかきっと英検1級を取る!」という思いが、隙間時間でも単語帳を見る、英語で日記を書く、同じスピーチを何度も聞いてシャドーイングする原動力となっていました。
その努力が実り、7回目のチャレンジで英検1級に合格しました。
英検1級を独学で取得する究極の鍵は、根気と継続の積み重ねの上に成功があるという王道にして黄金のルール以外の何物でもありません。この私の経験が皆さんが独学で挑む上での参考になれば幸いです。
近松恵子
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